高分子凝集剤とは?薬剤の選び方で水処理の品質を上げよう

高分子凝集剤は、水処理の効率を向上させ、コストを抑えるために役立つ薬剤です。水処理の方法や技術は多岐にわたりますが、その中でも高分子凝集剤は特に効果的な手段の一つといえます。
この記事では、高分子凝集剤の基本的な内容をお伝えします。使い方、及び具体的な事例までを分かりやすく紹介します。水処理設備のメンテナンスを担当する方々が、日々の作業に役立つ知識を得られることを目指しています。
高分子凝集剤とは?
高分子凝集剤は、水中の微細な粒子や汚染物質を凝集させ、沈殿させるために使用される薬剤で、工場などから排出される廃水を処理する際には欠かせない存在です。
その名の通り「高分子(大きな分子)」で構成されており、水中の粒子を引き寄せて結びつけ、大きな塊(フロック)を形成します。このフロックは、その後沈殿やフィルター処理によって簡単に除去できるため、水質が改善されます。
高分子凝集剤の役割
高分子凝集剤は、通常、以下のような役割を果たします。
粒子の凝集:水中の小さな粒子や不純物を引き寄せて凝集させます。これにより、これらの粒子は集合し、沈殿しやすくなります。
水質の改善:凝集されたフロックは、沈殿やろ過によって取り除かれます。このプロセスを経て、水の透明度や清浄度が大幅に向上します。
廃水処理の効率化:工場などの廃水処理において、高分子凝集剤を使うことで、汚水中の不純物を効率的に除去し、処理コストの削減が期待できます。
高分子凝集剤の種類
高分子凝集剤は、その化学的な性質によっていくつかの種類に分けられます。主に「陰イオン性」「陽イオン性」「非イオン性」の3種類があり、それぞれが異なる種類の汚れや水の状態に対して使用されます。
陰イオン性高分子凝集剤
陰イオン性高分子凝集剤は、主に負の電荷を持つポリマー(高分子化合物)で構成されています。これらは水中の正の電荷を持つ粒子(例えば金属イオンや微生物など)と結びつき、凝集を促進します。このタイプの凝集剤は、特に無機物や有機物の除去に効果的です。
化学工場では多くの金属イオンや化学物質が水に含まれているため、陰イオン性の凝集剤が使われることが多いです。これにより、有害物質を効果的に除去できます。
陽イオン性高分子凝集剤
陽イオン性高分子凝集剤は、ポリマーの中で正の電荷を持ちます。このため、水中の負の電荷を持つ粒子(例えば、有機物や細菌など)と反応し、凝集します。特に油分や有機物の処理に適しています。
油を含む排水を処理する際に、陽イオン性凝集剤が効果を発揮します。油分と結びつき、凝集させてフロックを形成します。
非イオン性高分子凝集剤
非イオン性高分子凝集剤は、イオン性の荷電を持たないポリマーで構成されており、主に物理的な吸着作用によって粒子を凝集させます。イオン性の凝集剤が適応できない複雑な水質にも使用されます。
汚泥処理においては、非イオン性の凝集剤が使用され、汚泥の処理効率を高めます。これにより、脱水効率が向上し、最終的な廃棄物の量が削減されます。
高分子凝集剤の使用方法
高分子凝集剤は、使用する水質や目的によって最適なものを選定し、適切な量を使用することが求められます。以下は高分子凝集剤の一般的な使用方法です。
使用量の調整
高分子凝集剤を使用する際、最適な使用量を調整することが重要です。多すぎると逆に凝集が悪くなる場合があり、少なすぎると処理効果が十分に発揮されません。通常、実験を行って最適な量を決定します。
溶解と添加
高分子凝集剤は、粉末または液体の形で提供されることが多いです。粉末の場合、まず水で溶解し、溶液を作成します。その後、処理する水に添加します。液体の場合は、希釈して使用することが一般的です。
混合と反応時間
凝集剤を添加した後、水としっかり混ぜ合わせ、一定時間反応させます。この間に粒子が凝集し、大きなフロックが形成されます。反応時間が短すぎると十分な凝集が行われず、逆に長すぎると過剰に反応してしまうため、適切な時間を確保することが重要です。
高分子凝集剤の活用事例
具体的な活用事例をいくつかご紹介します。
化学プラントでの使用
化学プラントでは、さまざまな化学物質が処理されるため、その廃水も非常に複雑です。金属イオンや有機物が含まれることが多く、これらを効率的に除去するために、高分子凝集剤が活用されています。特に陰イオン性高分子凝集剤が使用され、化学物質を引き寄せて凝集し、効率的に水質を改善します。
食品工場での使用
食品工場でも排水処理が重要です。食品に含まれる油分や有機物を除去するために、陽イオン性高分子凝集剤が活躍します。油と結びついて凝集し、沈殿させることで、廃水がクリーンに処理されます。
下水処理施設での使用
下水処理施設では、汚泥や有機物が多く含まれる排水を処理するために、非イオン性高分子凝集剤が使用されることが多いです。これにより、汚泥の脱水が効率的に行われ、処理コストの削減と廃棄物の減少が実現します。
高分子凝集剤のメリットとデメリット
メリット
効率的な処理:微細な粒子を効率的に凝集させることができ、沈殿やろ過が容易になります。
環境負荷が少ない:添加量が少量でポリマーのため環境への影響が少なく、安全性が高いです。
広範な用途:水質や処理対象に応じて、さまざまなタイプの高分子凝集剤を選べるため、多様な用途に対応できます。
デメリット
コスト:高分子凝集剤は他の薬剤に比べてコストが高いことが多いため、使用量や処理規模を慎重に考慮する必要があります。
過剰使用による問題:適切な量を使用しないと、逆に処理がうまくいかないことがあります。
高分子凝集剤、スイフロックについて

水処理ジャーナルを運営する株式会社スイレイは、創業以来50年以上にわたり、あらゆる工場排水の水処理システムを設計・施工・管理する専門企業です。お客様のご要望に応じて、完全オーダーメイドの水処理設備を提供し、設備保全や環境保全に取り組んでいます。また、独自に開発した薬剤を提供しており、機器との親和性を高め、トラブルを回避し、長期的なコスト削減に寄与しています。
そんな株式会社スイレイの、独自の研究所であるSUIREI Laboを有する高分子凝集剤、スイフロックについて紹介します。


スイフロック SR-2000 (1kg × 10) 10kg
「スイフロック SR-2000」は、凝集助剤(汚染水や濁った水に添加して、有害物質や微細な粒子を吸着・凝集させる薬剤)が不要もしくは、使用量を減らすことができ、スラッジ(水に混じって浮遊したり沈殿したりする固形物や半固形物)の発生量を大幅に削減します。排水処理にかかる薬剤コストを含め、ランニングコストを大幅に低減します。排水中のエタノールアミン、EDTA などのキレート系成分が原因による凝集不良を解消します。含油排水のエマルジョンブレーカー効果と、スラッジの脱水性の向上により、ケーキ含水率が低減されます。
他にも「スイフロック SR-100」「スイフロック SR-200」「スイフロック SR-300」「スイフロック SR-SR-EZ1」といった製品があり、用途に応じて選んで頂くことができます。
詳しくはスイレイオフィシャルサイトの高分子凝集剤のページをご覧ください。
https://www.suirei.co.jp/chemical/coagulant.phpまた、最適な製品の選定や適切な量については、以下からお気軽のご相談ください。
フォームからのお問い合わせはこちらから
https://www.suirei.co.jp/contact/お電話でのお問い合わせは、052-383-8585、から
まとめ
高分子凝集剤は、水処理において非常に重要な役割を果たします。工場の排水処理や下水処理施設、さらには汚泥処理において、その効果を発揮します。適切な高分子凝集剤を選定し、最適な使用方法を実践することで、効率的な水処理が実現できます。高分子凝集剤の知識を深め、現場での問題解決に役立ててください。