【水処理】工場排水処理技術が支える半導体製造に欠かせない超純水

半導体は、現代社会のあらゆる電子機器に搭載され、私たちの生活を支える基盤となっています。その半導体製造に不可欠なのが、高度に清浄化された「超純水」です。
半導体工場における水処理技術は、製品の品質を支えるための重要な要素であり、極めて高い水準を求められるものです。
今回は、半導体工場で欠かせない水処理技術について解説するとともに、純水を作る工程についての基礎知識についてもあわせてお話しします。
半導体工場における水処理の重要性
半導体は、私たちの生活に欠かせない電子機器の心臓部であり、あらゆる機器に搭載されています。半導体工場では、この小さなチップを製造するために、大量の水が使われています。
半導体製造プロセスと水の役割
半導体は、スマートフォンやパソコン、自動車など多くの電子機器の中核をなす部品です。これらの部品は、非常に精密な工程で製造されるため、作業環境や使用する材料は極めて高いクリーン基準を求められます。
半導体製造プロセスでは、シリコンウェーハの洗浄、薬品の希釈、冷却など、様々な場面で水が使用されます。特に、ウェーハの洗浄は、半導体の品質を左右する重要な工程であり、超純水が大量に必要とされます。
また、洗浄後のウェーハに残る洗剤や不純物を完全に取り除くため、何度も純水ですすぐ作業が行われます。その他、エッチングや酸化、拡散などの工程では、特定の化学反応を促進・制御するために水が利用されることもあります。この場合も、使用する水が不純物を含むと反応の正確さに影響し、製品の均一性が失われる恐れがあります。
つまり、半導体製造では「水」が単なる溶媒や冷却材ではなく、製品の品質や製造工程での成功率に直結する非常に重要な要素となっているのです。
超純水とは:その定義と必要性
「超純水(Ultrapure Water:UPW)」とは、一般的な飲料水や工業用水と比べ、ほぼ全ての不純物(イオン、微粒子、有機物、微生物など)が徹底的に除去された水のことを指します。超純水は、以下のような特徴があります。
・水に含まれる溶解性のイオンがほぼ全て除去されているため、電気を通さない
・目に見えない微粒子や細菌、ウイルスがゼロ
・超微細フィルターや多段階の精製工程により、目に見えない微粒子や細菌、ウイルスも取り除かれています。
・化学的な処理や紫外線照射などで、有機物も分解・除去されている
半導体製造では、ほんのわずかな不純物が回路形成やエッチング工程での反応を乱し、欠陥や故障の原因となるため、通常の水は使用できません。
微小な不純物が回路内に混入すると、短絡(ショート)や電気的な異常を引き起こし、完成品の寿命や性能に悪影響を与えることから、超純水が必要とされているのです。
製造工程における欠陥が減少することで、良品率が上がり、結果的に生産コストの低減にも繋がります。超純水は、半導体製造において品質の命ともいえる存在なのです。
超純水を作るための水処理装置の仕組み
超純水を作るための水処理装置は、様々な技術を組み合わせて高度な浄化処理を行います。ここでは、一般的な超純水製造プロセスとその装置の仕組みを解説します。
前処理(Pre-treatment)
原水中の大きな粒子、浮遊物、有機物を取り除き、後の工程の効率を上げるための初期処理です。
【主要な装置と機能】
・粗ろ過フィルター:大きな固形物や砂などを物理的に除去する
・活性炭フィルター:塩素や有機物の一部を吸着・除去し、後段の膜系装置を保護する役割を担う
・軟水化プロセス:硬水中のカルシウムやマグネシウムなどのミネラルをイオン交換樹脂を用いて除去し、逆浸透膜のスケール(スケーリング)を防止する
膜処理(Membrane Processes)
前処理を経た水から、さらに細かい溶解性のイオンや微細な粒子を除去するための工程です。
逆浸透(Reverse Osmosis: RO)は、半透膜を用いて、溶解性のイオンを物理的に除去します。ROは超純水生成プロセスの中心的な工程であり、通常、複数段階のROユニットを直列に配置することで、除去率を高めます。
ナノ濾過(NF:Nanofiltration)は、場合によってはRO工程の前後で用いられることがあり、特定の有機物やマルチバリュー成分の除去に役立ちます。
高精度精製工程
ROやNF工程を経ても残留する微量のイオンや有機物をさらに取り除くため、最終的な水質を「超純水」レベルに引き上げる工程です。
イオン交換処理は、イオン交換樹脂を用いて、溶解しているイオンを化学的に除去します。通常、陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂が組み合わせて使用されます。
・陽イオン交換:カルシウム、マグネシウム、ナトリウムなどの陽イオンを除去する
・陰イオン交換:塩化物、硫酸塩、硝酸塩などの陰イオンを除去する
超濾過(Ultrafiltration: UF)は、ナノスケールの粒子やコロイド、微生物を物理的に除去するために使われる場合もあります。UFは膜の目が細かいため、微生物の侵入を防ぐのに有効です。
付加的処理と最終調整
超純水生成プロセスの最終段階で、最終的な不純物や微量の有機物を取り除くとともに、殺菌や微生物のコントロールを行います。
【主要な工程】
・紫外線(UV)照射:UVランプを用いて、細菌やウイルス、その他の微生物を殺菌する。また、特定の有機物を分解する効果もある
・オゾン処理または超酸化処理:必要に応じて、オゾンを使った酸化処理が行われることもある。オゾンは強力な酸化剤として、微量の有機物や微生物を分解・除去する
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まとめ
半導体製造では、極微な回路パターン形成と精密な工程管理が求められ、その基盤となるのが超純水を用いた高度な水処理技術です。洗浄、リンスなど各工程で使用される水は、微粒子や不純物、有機物を徹底的に除去し、製品の信頼性向上に直結します。
先進技術を組み合わせたシステムにより、厳格な水質管理が徹底されることで、半導体工場の高品質な製造環境が維持されています。
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